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選手と指導者が向き合うことでチームは伸びる。
大事なのは、お互いを信用しあうことです。 |
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小 林 伸 二 さん
モンテディオ山形監督 |
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1960年生まれ。長崎県出身。大阪商業大学卒業後、マツダSC入団。90年の引退後は同チーム・ユースの監督を務め、Jユースカップ優勝へと導く。その手腕が認められ、アビスパ福岡、大分トリニータのサテライト監督を歴任。01年、同トップチームの監督に就任し、翌年にはJ1初昇格を果たす。04年、セレッソ大阪監督、07年、アビスパ福岡チーム統括グループ長を経て、08年よりモンテディオ山形の監督を務める。 |
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ボールが動く、人も動く
違いをみせる今季のモンテ。
今季、チームが掲げている“BE MOVING!”というスローガンには、「動く」「心を動かす=感動」といった意味があります。その言葉が表すのは、選手やスタッフ一人ひとりがクラブのために動く、ということです。そのために僕らピッチに立つ人間がすべきことは、積極的にサッカーをして、最後まで諦めず、どんな状態でも戦い続ける姿勢を保つこと、そして最終的にはゲームに勝つことなんです。それでもし負けてしまったとしても「次に向けてどう努力するか」が大事ですよね。負けてしまうのには明らかに原因があるわけですから、まずそれを追究して、選手にビデオで見せ、その点をトレーニングして次に活かせるよう実践しています。原因には個人的な問題もありますが、全員が陥りうる現象や全員で取り組むべき課題もあるわけですから、ビデオを観る時は、ベテランでも誰でも全員の前で「これがダメだから、こうしよう」と指摘します。正直、選手も考えるところがあるでしょうね。でも指摘したことをピッチでやって成果が出せれば、お互いの
信用につながるんですよ。それでまたミスをしても、トレーニングしてまた試合で使います。「責任は俺が取るから思いきってやれ」って。チームが向上するためには、いかに選手を信用して送り出すかが大事なんですよね。私の仕事は選手が理解してくれないと意味がない。その点、今のチームは素直に耳を傾けてくれて、スッと変わってくれる。今までの経験から、選手と指導者が向き合うことで必ずチームは伸びる自信があります。選手にとってサッカーは仕事ですから、いい仕事をしてもらうために僕らは指導をするし、それに対して一人ひとりをきちんと評価してあげなくちゃいけない。現在、登録されている選手は30人近くいます。その30数名それぞれを誰かがちゃんと見ている、そういう組織であることが大切ですよね。それが出来ると、思っている以上のチーム力を生み出すはずですよ。
そして、これからさらにチームが県民の皆さんに愛されるようになるために私に課せられたのは、プレーヤーの質の向上です。それでチームが強くなれば、そのスポーツへの関心が高まって県全体が活気付きますからね。それと今、トップチームの選手が学校訪問やサッカー教室などを行っていますが、身近にプロの選手がいることで夢を持つ子どもたちが増えてくれたらいいなとも思います。夢を持てば可能性があるんだと知ってほしい。早くに夢を持つことは、限りなく成功に近いスタートになるはずですから。
さらに今後クラブとしては、ユースで優れた選手が育って、トップに上がってくるようになるといいですよね。その図式が出来上がれば、いい選手が地元に残るようになると思いますよ。そして、ぜひ県民の皆さんにはその選手全員を“山形の選手”として応援してもらえたら嬉しく思います。 |