毎日の暮らしに、ほんのひとさじの夢を探して、
私たちはこの街に住むあなたを応援します。
スプーンネット
トップページへ 特集 バックナンバー
 Home > 特集 > 「アートでまちを再発見」
back 1 2 3 4 5 6 next
 



平成19年12月、酒田市の助成で実現した「アートでまちを再発見」成果展。4回のワーク
ショップで作った作品と4人の講師陣の作品を「さかた街なかキャンパス」に展示した。
 


 
平成16年8月、「さかた街なかキャンパス」オープニングで、「バードネット」を初発表。太田三郎さんのコンセプトで、学生や市民が作品のパーツづくりと展示作業を行った。  
   

 
平成16年11月、鶴岡丙申堂での展覧会「バードネット―世界はつながっている」。建物の特徴を生かした太田さんのインスタレーションは、酒田とはまったく異なる姿に変身した。  
 近年、まちのなかでアートをするさまざまな取り組みが、全国各地で行なわれています。「大地の芸術祭」が3年に一度開催される新潟県越後妻有地方や、瀬戸内海に浮かぶ島全体がアート空間になっている香川県直島町、年に一度、地区全体がアートの展示会場となる岩手県花巻市の土澤地区など、その事例は数え切れないほど。そしてじつはここ庄内でも、まちなかでのアート活動が、数年前から行なわれているのです。
  中心となっているのは、東北公益文科大学准教授の半田結さん。半田さんは、着任当初から学生たちにアートを直接触れさせたいと、山形ゆかりの美術作家を大学の授業に招いていました。「でも少し経った頃、せっかく日本を代表する作家の方々が酒田に来てくださるなら、学生や市民みんなでアートを体験したいと思うようになったんです。それで学外でのアート活動を行う糸口を探しはじめました」。平成15年、「さかた街なかキャンパス」開設検討委員会で、半田さんは酒田TMO事務局の菊地亮哲さんと知り合います。菊地さんは以前から「まちの活性化を図るさまざまなアプローチの中で、アートは地域や人々に多様な影響力を与えるはず」という考えを抱いていました。「まちでアートをしたい」と「まちをアートで活性化させたい」。2人の思いが符合した翌年、鶴岡のNPO法人や市民有志と一緒に、庄内初のアートプロジェクトを立ち上げました。

 
 
  平成18年11月から翌年1月にかけて行なわれた「まち歩き」。酒田中心市街地をアーティストと連れ立って歩いた。この時の内容が『酒田アート探検記』にまとめられている。
  アートプロジェクトとは、アーティストがその土地ならではの作品を地域住民と一緒に制作・展示するプロセスのことを示します。近年、全国各地で同じような動きが起きているのは、アーティストの斬新な視点がまちに加わることでまちの魅力を再発見したり、アートがコミュニケーションツールとなって新しい地域コミュニティを生みだしたりと、さまざまな効果が期待できるからです。庄内で平成16年に起きたアートプロジェクトは、現代美術作家・太田三郎さんを中心とした「バードネット・プロジェクト」で展開され、その時に作られた作品はその後、鶴岡、岡山、京都などで展示されました。2年前の冬には、まちなかでのアート活動がさらに発展して「酒田まちなかアート探検隊」を結成。酒田市出身の美術作家・佐藤時啓さんや洋画家の渡邊榮一さんが加わり、酒田市内のまち歩きをそれぞれ実施しました。その時の発見や感想などを盛り込んだマップは、昨年春、酒田商工会議所から『酒田アート探検記』として発行され、今までにない新たな視点に話題が集まりました。


平成19年春に発刊した『酒田アート探検記』(左)と今年の春発刊したばかりの『酒田アート探検記2』(右)。渡邊榮一さんが編集・デザインを担当した。お求めは半田研究室にて。  
 
   
  さかた街なかキャンパスを拠点に、昨年開催された「山形学」地域連携講座「アートでまちを再発見」は、こうした経緯から生まれたものです。ワークショップには、前述した3人の講師陣に映像作家の加藤到さんが加わり、東北芸術工科大学と東京藝術大学の学生たちもそれぞれ参加者として酒田にかけつけるなど、1回1回が新鮮で密度の高い内容になりました。まちの中で活動をはじめて丸4年。アートを切り口にまちに入る込むにつれ、酒田がどんどん好きになるという半田さんは、『酒田アート探検記』で次のように述べています。「北前船の歴史が色濃く残るまちは、江戸や上方文化のみならずロシアをはじめとする外国との接点あるいは中継点として文化の層を厚く築いてきた。それは今は見えなくなってしまっているけれど、ひとたびまちに出て話を聞くと、まちはたちまち熱をおび、アートの様相を呈する。ひとつひとつに色と形があり、積み重ねられたその奥から鮮やかな酒田が甦る。私たちが生きるまちは、目に見えているまちだけでない」。

■まちなかアート探検隊 参加者募集!

今年も「アートでまちを再発見2」を開催。詳しくは、
0234(41)1267 0234(23)8653 半田研究室まで。


半田 結さん
東北公益文科大学 准教授
  菊地亮哲さん
酒田TMO事務局 タウンマネージャー
秋田県生まれ。筑波大学大学院芸術学研究科で子どものための芸術教育を研究。その後、筑波大学、九州看護福祉大学を経て、平成14年、東北公益文科大学助(准)教授就任。教育や福祉の枠を越えて、アートで人やまちをケアする活動を幅広く手がける。酒田市在住。
 
酒田市出身。平成13年から、酒田TMO(酒田商工会議所・タウンマネンジメント機構)事務局に籍を置く。まちづくりや賑わい創出のための「さかた街なかキャンパス」を中通り商店街に開設・運営するなど、「街の活性化」を掲げたさまざまな取り組みを、東北公益文科大学の教職員・学生や市民と実施中。

(スプーン2008年4月号に掲載)

back 1 2 3 4 5 6 next


pageup▲



月刊SPOON編集部

山形県酒田市京田2-59-3 コマツ・コーポレーション内
電話 0234(41)0070 / FAX 0234(41)0080


- 会社概要 - お問い合わせ -
Home Page上に掲載している写真・テキストの著作権は、SPOON編集部およびその著者に帰属します。
無断転用(加工・改変)、ネットワーク上での使用等はご遠慮下さい。
このサイトに掲載しているものは全て、個人でお楽しみ頂くためのもので、著作権は放棄しておりません。