身近なものに、ひと手間かけるだけで、
どんなパンも、とっておきのごちそうになる。

佐々木さんがヨーロッパのパンを作るようになったのは、東京でパン教室を主宰する島津睦子先生との出会いから。島津先生のもと、これまで何度か現地に赴き、パンにまつわる知識や、マイスターとしての技術、その国の文化などを学んできました。「ヨーロッパに行くたび『今回はこのパンに出会えた!』って嬉しい発見があるの。その感動を皆さんにも味わっていただけるように毎日パンを焼いています」。また、現地でのホームステイでは、普段の人々の暮らしから感じ得ることも多いそうです。「オーストリアの家族のお家では、おばあちゃんがお菓子、お父さんがお料理、お母さんがパンを作っていたのね。娘さんたちはベリーを摘みに行って、それをお菓子やジャムにするためにお母さんから作り方を教わるの。“身近にあるものに手をかけて食卓に並べる” これはけっして特別なことではないけれど、家族が力を合わせて何かをしたり、自分の手で作って家族や誰かをもてなす気持ちが、とっても素敵だなと思ったの」。
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マイスターの技が光る、
手編みのパン。 |

本当にあった?
その形にかくされた
神聖なるパンの逸話。
バターと牛乳たっぷりのリッチな編みパンは独語でツォプフといい、おさげ髪を意味する。これは昔、主人が亡くなると妻が一緒にお墓に入っていたという習慣に代わり、パンを女性の髪に象って神に捧げるようになった、という説が残っている。 |
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ひと手間加えるだけで
とっておきで、おいしい
私のパンができあがり。

ヨーロッパでは、マイスターもお母さんも、日々パンを焼くことで四季や一日を感じています。「ヨーロッパの暮らしは素朴だけれど、いつも『誰かのために』『誰かと一緒に』って考えていて、それがとても豊かなの。だから、皆さんがパンを食べる時も、うちで煮たイチヂクを添えたり、自分のためにお茶を淹れるだけでいい、ほんのひと手間加えたら、それが誰にも真似できない我が家の味。皆さんがそれぞれの“私のパン”を、楽しんでほしいなと思います」。
(スプーン2008年5月号に掲載)
取材・撮影協力=モンパン
Special Thanks to Mon-Pain
高橋江里子=取材・文
text by Takahashi Eriko
和島諭=写真
photograph by Wajima Satoru
日向香=デザイン
design by Hinata Kaori
〈参考文献〉
『Swiss Bakery リッチモント専門学校』パンニュース社
島津睦子『手作りパン工房』グラフ社
島津睦子『これであなたもマイスター 手づくりパン工房』NHK趣味悠々
『焼きたて パンの図鑑』主婦の友社 |
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アップルジュエリー
[材料] 紅玉・2kg/水・りんごと同量/上白糖・1.3kg/レモン汁・1〜1.5個分
(1) 皮付きりんご(芯を取ったもの)をまるごと、同量の水と一緒に鍋に入れて、中火で煮る。
(2) 煮立ってきたら、ごく弱火で煮る。
(3) (2)のりんごと水分を、ガーゼや濾し袋に包み、一昼夜搾らずに濾す。
(4) 搾取した液体に砂糖を加えてひと混ぜし、全体が半分の量になるまで煮詰める。この時、絶対に混ぜたりせず、ただ静かに待って、とろみがついたら火を止める。
(5) (4)にレモン汁を入れる。 |

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フルーツのハチミツ漬け
レモン汁とハチミツの分量は2:1の割合で。フルーツはひと口大にカット。冷蔵庫で2、3日保存OK。 |
オリーブオイルと塩 どちらも種類豊富。
あつあつパンにつけて。

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イチゴジャム
ブルーチーズと相性◎。
ハチミツ
パンとハチミツの
色を合わせると好相性。 |

たまご
たまねぎの皮と一緒に煮て
色つきゆでたまごに。 |
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りんごのキャラメリゼ
鍋にバターをひいて、
りんごをのせ、
グラニュ糖をふり、
オーブンで色よく焼く。 |
ここに挙げた以外にもコーヒーや紅茶、
ワインやチーズ、ディップ自分流に組み合わせよう。
パンのあたため方
(1)オーブンは180℃〜200℃に予熱しておく。
(2)パンに霧を吹いて、小さいパンなら2〜3分、
大きいパンなら5分ほど焼く。
★皮がパリッとしたら、中もふわふわ!
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