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 Home > バックナンバー > 「光子さんのごっつぉ彩時記」 > 153 漬物の炒め煮

月刊「SPOON」2005年3月号掲載

最近の食卓では
しばらく見かけない、
懐かしのごっつぉが
戻ってきました。
その美味しさに
あらためて感激です。
青塚光子=料理
cooking by Aotsuka Mitsuko
三浦栄子=取材・文
text by Miura Eiko
板垣洋介=写真
photograph by Itagaki Yosuke

イラスト=佐藤定雄
題字=齊藤千加子

旬の手作り実感シリーズ……153
 

漬物の炒め煮
【材料】
たくあん、唐辛子、タイ菜、人参、
薄揚げ、青豆(材料はすべて適宜)
めんつゆの素1:味りん1:酒1:醤油1/2 (調味料はすべて割合)
 いっけん大根の煮物と菜っ葉のおひたしのように見えますが、何だかわかりますか。じつは、たくあんとタイ菜の漬物を炒め煮にしたものなんです。

「昔はどごの家でも、たくあん漬けっだながいの。最後の方なて、美味しぐねぐなたたくあんは、こうして炒め煮して食べだもんだよ。今だば食べる分だげ買てくんなだし、わざわざ、これ作るためにたくあん買てこねもんの」。

 少し前までは、こんなごっつぉがふだんの食卓に上がっていました。自宅で保存食を作らなくなったり、浅漬けが好まれたりと、生活様式や嗜好の変化に伴って、なかなかお目にかかれなくなってしまったごっつぉなんです。

 たくあんは、ふだん漬物として食べるような厚さに切ります。これを鍋に入れ、かぶるくらいの水を注いで火にかけ、15分から20分くらい煮ます。歯ごたえの残るくらいに煮たら、冷めるまでそのままにして塩抜きします。「塩抜きって言うど、切ったたくあんを水さ晒すって思てしまうなんども、水さ晒してしまうど、大根がかっでぐなてしまうさげ、絶対だめだな。必ず水からコトコト煮で、そのまま冷ませば、塩は抜けでしまうな」。

 柔らかく、美味しいごっつぉにするためには、ここが肝心です。冷めたらザルにあけ、2度ほど水を取り替えて塩気を抜きます。これで塩抜きは完了。ゆっくり水気を切っておきましょう。

 鍋を熱して油を引き、たくあんを入れます。全体に油が行きわたるように炒めたら、輪切りの唐辛子適宜と、めんつゆの素、味りん、酒各1、醤油2分の1の割合で調味料を加えて、味付けします。ここからは中火にして、焦げないようにかき混ぜながら、しっかり味を染み込ませます。

「炒め煮すっどぎは、鍋から目離したらだめだんよ」。鍋のまま冷まして、さらに味を染み込ませたら、できあがりです。

 つぎはタイ菜です。まず食べやすい大きさに切り、やはり水から茹でて、塩抜きします。「茹でで、水で洗たタイ菜は、しっかり手で絞んな。こうすっど、茎も柔らかくなっさげの」。鍋に油を引き、まずせん切りにした人参を炒め、つぎに、タイ菜と、油抜きして縦半分にしたものを刻んだ薄揚げ、市販の青豆を加えて、さらに炒めます。たくあんの時と同じ割合の調味料を加えて、汁がなくなるまで、かき混ぜながら炒めます。これも鍋のまま冷まして、味を染み込ませて、できあがり。彩りも考えた、光子風タイ菜の炒め煮です。

 アツアツのごはんの上に、できあがった炒め煮をいったん載せて、旨味が染み込んだごはんと一緒にいただきましょう。人の食って、やっぱり生まれ育った家庭の味に回帰するものなんだと実感する、至福の瞬間です。



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